代表者コラム「葉っぱのチケット」

イロハスコーレの主宰であり、野外保育活動「森と畑のようちえん いろは」代表の日々のささやかなコラムです。

初対面の方には必ずと言っていいほど「なぜ森のようちえんを立ち上げたのですか?」と質問されます。
正直なところ、立ち上げを決意した当時は幼児教育や子どもの育ちについての知識が皆無であった私で、持ち合わせる理論や綿密な計画は全く無かったのです。
「話は長くなるのですが…」と言いながらいつもその質問の回答として「葉っぱのチケット」の話をします。

ある時偶然見学させてもらえた、とある森のようちえんの女の子からもらった「葉っぱのチケット」。
これは今思えば私が「森と畑のようちえん いろは」を立ち上げるための、その道を歩むための入場券のようなものだったのかもしれません。
女の子は遊びの中で「これチケットだからね」と、丈夫で光沢のあるしなやかな葉っぱを一枚私に森を歩きながら渡してくれました。
目的地に到着後、「さっき渡したチケットある?」と聞いてきたので、服のポケットから出して女の子に渡しました。
すると、女の子は「葉っぱのチケット」をそれらしくもぎって次の瞬間、
フワ〜っと
その時ちょうど吹いてきた風にそのチケットを乗せるように、手を上にかざしてチケットから手を離しました。
そして、チケットは風に乗って飛んでいきました。

この光景が本当に美しかった。
今まで見てきた何よりも美しかった。
涙が出ました。
今もその幸せな気持ちを忘れられないままの私です。
たったこのことだけが、今の私の原動力。

森の中で子どもたちと共にいると、本当に幸せなことに日々そのような美しい光景に出会います。
日々のほんのささやかな心模様を、少し皆さまにも共有させていただけたらと「葉っぱのチケット」と題して書かせていただこうかと思います。

葉っぱのチケットカテゴリー

担当スタッフ

●福井希帆(きーちゃん)
「森と畑のようちえん いろは」代表。
大学卒業後子どもとも自然とも全く関係のない仕事を転々としていましたが、ある日出逢ったとある森のようちえんの子どもたちに大感動、その場で自分も地元大阪に立ち上げることを決意。「子どもってすごい!」と感動の日々。
自身が小学生の頃からずっとしているキャンプ活動をもとに、自然体験活動を通して「生きる力」を子どもも大人も得られる場になればいいなと願いながら活動しています。夢は卒園児たちが成人したら一緒に富士山に登ることです!
こんな仕事をしつつも実は大都会の喧騒好き。自分の心身をもっと自然の中に溶け込ませるのが目下の目標(笑)。